ジュニアゴーグルの選び方について親御さんから質問を多くいただきました。
「小4の選手コース(の子)ですが、どのゴーグルがいいですか?」
「ゴーグルの推奨年齢に3歳〜8歳と書かれていますが、成長段階で長く使えますか?」
など、ジュニアゴーグル選びを普段することがないから基準が難しいですよね。
泳いでいる最中にスイムゴーグルの中に水が侵入して水中でのクリアな視界がなくなると、気分は盛り下がりますし、パフォーマンスも下がる、場合によっては危険にもなりえます。だからこそ、水泳を始めて間もない人はもちろん、上級者でも飛び込みやターンなどの激しい抵抗が掛かる時にずれないような正しいゴーグル選びが大事です。
かと言って着用感が窮屈すぎたり、どこかが痛くなるのもよくありません。大事なお子さんの目のことだからこそ、自分のお子さんのゴーグル選びに悩む親御さんが多いのにも納得できます。
なぜ、このようにジュニアゴーグル選びが難しいのでしょうか?
◆子供のスイムゴーグル選びが難しい理由
そもそも普段スイムゴーグルを着用しないことが多いため、基準がわかりにくいことにあります。例えば、私たちが陸上で使うメガネは眼科で検査し、その処方箋を元に作ります。メガネを作る上で大事になるのは視力はもちろん、瞳孔間距離という焦点となる部分です。

視覚の焦点とレンズの凸面があっている必要があるため、凹凸の場所やフレームの切削を調整するのです。
それに対してスイムゴーグルで大事になるのは眉間距離がひとつの重要指標になります。
骨格の窪んだ場所にスイムゴーグルを綺麗にフィットさせるためです。

骨の形状には個人差がありますから、決まったサイズ選びやゴーグル選びというものが難しい上に、成長期の子供たちの身長が伸びていくように、頭の骨格も継続的に成長するため、この骨格に合わせるのが想像しているより難しいのです。
その難しいジュニアゴーグルのサイズ選び日本で長年スイムゴーグルを作っている日本ブランドのSWANS(山本光学)はどのように作っているのでしょうか?
◆SWANSのスイムゴーグルの開発手順
SWANSさんに聞いた開発手順を大まかに並べてみると
- 日本人平均の人頭(骨格モデル)を参考に試作モデルを作る
- サンプル用に試作モデルを何個も作る
- 実際のスイマーや子供たちに試着(フィッティング)し使ってもらう
- 着用感、水抜けなどの実際の声を集め、修正していく
- 成長に合わせて変化しやす眉間に合わせて複数種類のパーツを付随する
上記のようになっているようです。
SWANSブランドは以前の記事(SWANS100年の歴史)でもご紹介したように日本で非常に長い期間ゴーグルの製造と販売を続けてきたブランドです。顔の骨格には個人差があり、国が違えばその個人差がさらに大きく出ます。眉間の距離だけでなく、鼻の高さもゴーグル選びに影響を及ぼしやすくなります。だからこそ、日本ブランドが日本で試着テストをしていたという意義は大きいと言えます。
海外製のゴーグルが悪いかというと、もちろんそんなわけではありません。日本ではクッションなしのゴーグルの人気が根強いですが、それには日本人の骨格にピッタリとあったゴーグルがあるからと言えます。海外ではクッション付きのゴーグルが人気を高めているのですが、それはクッション付きだとさまざまな骨格に対して柔軟に対応できるメリットがあるのです。
もちろんクッション付きゴーグルの種類にも色々ありますから、そもそもの形の設計がしっかりとしている必要はあります。以上をもとにジュニアゴーグルの選び方を考えてみましょう。
◆ジュニア用スイムゴーグルの選び方のポイント
Point1・骨格に合うゴーグルを選ぶ
もしクッションなしタイプを選ぶのであれば、骨格に合うゴーグルを選ぶことが大事です。
骨格に合わせると言っても、ネットで購入することも多くなった今、実際のお店でもフィッティングをする機会がないからなかなか実現が難しいですよね。顔にフィッティングしてみるのが一番ですが、それが難しい場合は日本人骨格の方は日本ブランドの規格がフィットしやすくおすすめしたい所です。それだけ日本ブランドは日本国内の骨格に合わせて作り、テストユーザーも日本人が中心だからです。
先ほど上げさせていただいたSWANSや、VIEWという日本製のゴーグルは特に安心してお勧めできます。
Point2・クッション付きを選ぶ
クッション付きを選ぶのであれば、先ほどの理由から国内に限らず色々なメーカーがあり、選択肢は一気に広がります。クッション付きゴーグルの性能はこの10年ちょっとの間に急激に技術が向上し、海外トップ選手も多く着用しています。この数年では国内選手でもクッション付きを選ぶ選手が増え始めました。
ジュニア向けなら大きなクッションのものより、小さなクッションのものの方がフィットしやすい傾向はありますが、柔軟なフィット感で大きめレンズのクッション付きゴーグルもジュニア選手層に大きめのクッション付き競泳ゴーグルが選ばれるようになってきました。
Point3・鼻ベルトを合わせる
最初に少し書いた通り眉間距離が大事ですから、鼻ベルトを合わせるというのは非常に大事です。下の年齢別の選び方でも合わせて確認してください。
◆年齢別の選び方
・年齢別のゴーグルとは何か(3歳〜8歳、6歳〜12歳用など)
・小学年(1〜3年生)と高学年(4〜6年生)が選びやすい傾向
幼ければ幼いほど顔の骨格は小さいため、それに合わせたゴーグル設置面が設計されています。
それでも子供の成長は早いですから3歳〜8歳、6歳〜12歳用というと「本当に対応できるの?」と感じるぐらい年齢幅が広く感じますよね。
頭囲は身長ほどではないとは言え成長し、少しずつ眉間の距離も変わっていきます。
頭囲の成長に対しての眉間の距離ですから成長に対しては微々たる数字ではありますが、その僅かな誤差があるのが子供と大人の眉間の違いです。
ポイント

では、実際ゴーグルはどのように選べば良いのでしょうか?成長には個人差があるため、あくまでも選ばれやすい傾向としてご覧ください。
小学年(1〜3年生)/高学年(4〜6年生)が選びやすい傾向
※今回はあくまでもジュニアの競泳選手向けの傾向です。フィットネスやレジャーなどの軽い泳ぎであれば、ジュニア向けフィットネスゴーグルを推奨いたします。
・小学生/小学年(1〜3年生)
まだ骨格として成長段階で、頭の骨格は小さめで眉間も短めです。またフィット感の強いゴーグルに慣れていないこともありますので、ジュニア専用ゴーグルを選ぶのが良いかと思います。慣れていないうちはできれば柔らかめのクッション付きのものが理想です。色味も大事ですから、カラフルなものを選ぶとモチベーションも上がっていいかもしれませんね。
・小学生/高学年(4〜6年生)
本来ならまだ上記でご紹介したジュニア向けゴーグルをおすすめしたいのですが、「あの選手がつけていたゴーグルを着用したい」とか「お兄ちゃんたち(上の年齢の選手)がこれを着用して、かっこいいから自分も着用したい」という思いが出始めるのがこの年齢のころです。この頃になると成長の早い子だと体格もでき、顔の骨格も大人と近いことや、トップ競泳選手の影響を強く受けることから大人用のゴーグルを着用する選手が増え始めます。
繰り返しになりますが個人差があるという前提で、大人用のゴーグルを購入し、鼻ベルトを一番小さいベルトへと付け替えて着用する選手も多くいます。
近年のクッション付きゴーグルの進化もあり、クッションありの競泳用のスイムゴーグルを選ぶ選手も増えましたが、まだクッションなしのゴーグルを選ぶジュニア選手が多くいます。クッションなしのゴーグルは骨格の形にかなり依存をしやすいのですが、やはり先ほどのように”憧れ”がかなり影響しているのかもしれません。ですが、この”憧れ”という気持ちが、人を成長させてくれるのですから、大切にしてあげたいものです。
さて、この年齢層で人気の高い大人用のゴーグルは下記です。(鼻ベルトは一番小さいものに交換が基本的に必須)
この辺りが最近のジュニア選手に人気のようですが、いかがでしたでしょうか。ジュニアスイマーの皆さんはどんなゴーグルを選ばれていましたでしょうか?
実は日本で発売される競泳ゴーグルは、有名競泳ブランドの名前になっていても、今日ご紹介したSWANS(山本光学)と、VIEW(タバタ)という2ブランドが生産を担っていることが多々あります。
それぐらい日本ゴーグル2大ブランドの品質の高さがあること、日本では日本人の骨格向けに精密に作られていることが大事な裏打ちと言えるかもしれません。
この記事を書いているのが水泳用品店の店長ですから若干のひいき目に見ていると言われるかもしれませんが、日本製のゴーグルは実際に本当に長持ちし、フィット感も非常に良いのです。海外に転勤した方からなんとか日本のゴーグルを取り寄せができないかとお伺いすることもあるのです。
以上がジュニア向け競泳スイムゴーグルの選び方です。お悩みの親御さんがいたら、ぜひこの記事をLINEやTwitterなどでお友達にもお伝えください。
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※この記事について
この記事はできる限り客観的な事実や状況をもとに、ゴーグル選びでお悩みの方のお役立てる記事を書いているつもりですが、認識の間違いなどがあれば随時修正する可能性があります。どうぞご理解ください。