水泳用ゴーグルには大きく分けて2種類、競泳ゴーグルとフィットネスゴーグルというものがあります。
この競泳ゴーグル、オリンピックや世界水泳と言った世界の舞台で活躍する選手が着用するゴーグル(競泳ゴーグル)と全く同等品が、2500円〜7000円ぐらいで購入できるということで、コストパフォーマンスを考えてもとてもお得な水泳グッズと言えます。ですが、その競泳ゴーグルには個性があり、種類があり、初めての方には競泳ゴーグルを選ぶことが少しだけ難しいかもしれません。
ですが、この選び方を知ると、普段なんとなく選んでいたゴーグル選びが楽しくなり、水泳により打ち込めるようになるはず。ちなみに一般的に大手量販店で売られているものは、一般的にはフィットネスゴーグルと呼ばれ、初心者向けに着用感や値段を重視して作られています。それに対して競泳ゴーグルは泳ぎやすさや、自分の泳ぎとの相性を大事にされているものが多いです。どちらが良いのかという所も考えながら読んでみてくださいね。
競泳ゴーグルで選ばれる基準は下記の4つです。
- 速く泳げるか(流水抵抗の低減)
- 着用感(クッションの有無、フィット感)
- 視野角(視野の広さ・狭さ)
- 中から見える色味
ひとつずつ説明していきます。
1.速く泳げるか(流水抵抗の低減)
水は空気に比べて比重が重いため、水中では空気中に比べて抵抗が高く、わずかな凹凸も泳ぐ際の妨げになります。
水泳や水中ウォーキングが運動効率が良いと言われているのも、その水流抵抗が大事な要因です。
「泳げば顔の部分ぐらいだから大した抵抗じゃないでしょ」
なんて仰られるかたもいるかも知れません。確かに泳ぎの全体に比べれば僅かな差かも知れません。ですが、この僅かな差が、0.01を競う選手には非常に大事です。泳ぎに対する僅かな抵抗の差だけではありません。飛び込みの時や水中でターンをするときは、瞬間的に大きな水流抵抗がかかり、当然顔にも水流抵抗が集中してかかります。そこに過度の抵抗によってゴーグルがずれてしまうということが起こり得るのです。
では、どう選べば良いのか?
ここ数年発売されているゴーグルはどれも非常に高いレベルで安定しているため、FINA承認の競泳ゴーグルというジャンルを選べば、大体この流水抵抗の低減は優れた性能を持っています。
結論・・・国内で販売されているFINA承認のものは基本的にどれも水流抵抗が優れている。
とはいえ、類似品が出回っているため、専門店としてのおすすめは下記にて紹介していきます。
2.着用感(クッションの有無・フィット感)
上記の1(抵抗によるズレ)とも関係しているのですが、クッションの有無は顔へのフィット感にかなり影響します。
競泳ゴーグルを普段つけない人にとっては「え?クッションなし?痛そう」と思われる方もいるかも知れませんね。
クッションありは、目の周りに吸盤のように吸着させ水の侵入を防ぎ、クッションなしは、目周りの骨の部分に沿わせて顔にフィットさせるといった大きな違いがあります。
10年ほど前まではスイムゴーグルのレンズとクッションの成形が完璧ではなく、クッションありのものは速く泳ぐと水漏れをすることがたまにあるなど弊害が出ることもあったため、クッションありは初心者向けという認識がありました。
ですが、クッション加工の一体成形などの技術向上により、クッション付きも競泳ゴーグルで選ばれるようになってきました。
海外ではクッション付き競泳ゴーグルが人気が高まっていますが、日本では今でもクッションなし競泳ゴーグルの人気が高いという傾向が今もあります。
それはなぜでしょうか。
これには日本ゴーグルメーカーの技術力と、日本人の顔の骨格の違いがあります。
日本を支える2社のゴーグルメーカー(タバタ、山本光学)は日本人の骨格にフィットするようなゴーグルを作っており、それがまた競泳ゴーグルとして視界が広く、フィット感が高い、流水抵抗も優れていると言ったように、非常に性能が高いのです。
その分、日本で人気の高いゴーグルは、同じ骨格を持つアジア系の人には人気が高いのです。
海外ではクッション付きゴーグルの人気が年々高まっているのは、ゴーグルの性能がよくなっているのもありますし、顔の彫りが深い選手も多いことも一つの理由かなと思います。
結論・・・クッション付きも優れているが、日本には優れたクッションなしゴーグルがある。
クッションの有無、それぞれおすすめの競泳ゴーグル
クッションあり (海外&日本で人気) | クッションあり (日本規格) | クッションなし (日本人とも相性抜群) |
COBRA ULTRA(arena) XCEED(Phelps) | Blade ORCA(VIEW) ヴァルキリー(SWANS) ファルコン(SWANS) | Blade(VIEW) sniper(SWANS) SR-11J(SWANS)※ジュニア aquaforce SWiFT(arena) GX SONIC EYE J(mizuno) |
3.視野角(視野の広さ・狭さ)
試合中や練習中に見える角度(視野角)を気にされたことはありますでしょうか。
横の選手との駆け引きを見るために広いゴーグルを好む選手もいれば、自分の世界に集中したいからと、視野の狭いゴーグルを選ぶ選手もいる。横ではなく、前方向の視野を大事にする選手もいます。視界が広いから良いというわけではなく、それぞれの水泳選手が何を大事にするのかが非常に大事です。
参考までに、雑誌Tarzanで記事にもなった中村克選手が海外のゴーグルをあえて取り入れている理由をご覧ください。
このゴーグルと“良い景色”を見ていきたい。水泳選手・中村克のバディ
https://tarzanweb.jp/post-195480
この記事からも、ご自身の泳ぎの特徴が分かっているからこその美学を感じますよね。
皆さんの泳ぎに合わせた視野角はなんでしょうか。
ゴーグルの視野角の違いは下記の通り。
メーカー | シリーズ | 横方向 | 進行方向 (上方向) |
SWANS | SRX | やや狭い | 普通 |
SWANS | Sniper | 広い※1 | 普通 |
AQUASPHERE | XCEED | 広い | よく見える |
mizuno | GX SONIC EYE J | とても広い | 普通 |
VIEW | Blade | 広い | 普通 |
VIEW | Blade F | 広い | よく見える |
arena | COBRA ULTRA | 広い | よく見える |
arena | AQUAFORCE SWiFT | 広い※ | よく見える |
上記についてどのように計測したのかという様子を撮影したのが下記のYouTubeです。
4.中から見える色・明るさ
スイマーはゴーグルの影響や水中の影響などによって、見える視界の色が一気に変わるため、非常に大事です。
明るさだけで判別するならば屋外ではスモークが強めの色、屋内ではクリアに近い色味を選ぶのも大事です。バックストローク(背泳ぎ)のように上を見上げ続ける競技は、暗めを選ぶ人が多くいます。照明が強い会場や、外の会場では背泳ぎ選手の苦労も一入です。
また色味も大事です。
青色や緑色にはリラックス、赤色には心を奮い立たせる色などのように昔から言われていますが、色に関する本を読み、色の認識を改めなければいけないと思うようになりました。水泳選手の間では”勝ち色”という言葉がよく聞かれ、それによって実績を上げる選手も多くいらっしゃいます。私たちは専門家ではありませんので、GoogleやSNSなどで「勝ち色」と検索してみてください。
トップ選手は、ゴーグルならこの色と決めている選手も非常に多い事実を見ても、色の大事さの裏付けと言えるかもしれません。
さて、いかがでしたでしょうか。
競泳ゴーグルにも個性があります。見た目のカッコよさや、「〇〇選手と同じものを着用したい!」という視点でのゴーグル選びも良いと思いますが、速く泳ぎたいと思った時に、こういった視点でみてみるのもおすすめです。
皆さんのゴーグル選びの参考になれば幸いです。
その他関連記事