アスリート・競泳選手

スピード社の高速水着レーザー・レーサーの後継:LZR Pure 発売開始

(この記事は2019年現在に書かれた記事です。)

クローズド展示会:情報漏洩を防いでまで行われた展示会

競泳界の王者ながらも、常に革新を起こしてきたSpeedo、年月が経った今でも記憶に新しいほどに衝撃を残した2008年北京では、実にメダル獲得の89パーセントがLZRracerを着用していました。

LZR Racerの後継モデルとして発売されているLZR Racer Xでも、世界の常識を変えたSpeedo

その世界の競泳シーンに革新を起こし続けるSpeedoの新作となれば、当然スイマーにとっても、競泳各社も気になるはず。

当社では詳しい所までお伝えするべく、取材に行くことになりました。

FASTSKINの新モデルは都内某日に厳重な管理の中で一部のメディアと会社に対してのみ限定で情報が公開されました。

私たちMIHOROはその発表会の中に取材を実施しました。

流れる始めるVTR

世界中の330の世界トップスイマーのヒアリングとテストと200のプロトタイプ…

恐らくプロトタイプ以外のもので小さなテストなどを数えるとその何倍、何十倍も作られたのだと思います。

そのヒアリングをしたという世界中の選手は、世界のトップスイマーを始めとした多くの選手の声を聞いたとのことです。

  • 水中テスト
  • 着圧テスト
  • 時にスイマーのメンタルの部分に耳を傾ける

このような様々なトライと修正によって、FASTSKIN LZR Pure(ファストスキン レーザー ピュア)シリーズが生まれたことになります。

今回生まれた発表されたレース用水着(高速水着)は2種類

FASTSKIN LZR Pure Intent(通称:ピュアインテント)

FASTSKIN LZR Pure Valor(通称:ピュアヴァラー)

まずはINTENTの方からご案内していきます。

FASTSKIN LZR Pure Intentの機能とフォルム

この水着の特筆すべき点として、水着自体に施された“凹凸”

0.1秒を争う水の中において、凹凸というと、抵抗のようにも思えてしまいます。

ですが、なぜこの凹凸を設けたのでしょうか。

それには2つのヒントが元になっています。

  1. ゴルフボール
  2. サメ肌

ゴルフボールには凸凹があるのはなぜでしょうか?

こんな実験結果がある。

凹凸のないボールよりも凹凸のあるゴルフボールは遠くまで飛ぶ

その仕組みは窪み(ディンプル)にある。

凹凸があることで、風(波)がボールを包み込むように回り込む

ここから得られる答えとしては、凹凸による波の抵抗はうまくコントロールすることができれば、推進力になるのではないかという仮説

次にサメ肌の発想

海のハンターと言えるサメは、速く泳ぐために様々な体に凹凸があるということでした。

それを振り返ると、以前のSpeedoはアクアブレードというサメ肌の水着を作っており、そのアップデートを今でも続けていたのです。

つまり、レーザーレーサーという水着を経て、自然界に生まれたものを模倣しスポーツ技術に生かす、バイオミメティクスという手法を取り入れるために、今一度サメ肌という理論に戻ってきたのです。

この2つの発想の登場によって、水着に再度凹凸が加えられたことになります。

この2つがわかっても、この先には課題があります。

凹凸をうまく生かせば推進力になるかもしれないが、抵抗をうまく生かせなければ、むしろ抵抗になることは十二分に考えられます。

そこで生まれた課題がサメ肌をどの部分に入れるといいのか?という点

人がストロークしている時にどこに抵抗があるのかというテストを行った。

たくさんのパターンのサメ肌を研究する中で、頭、お腹、尻尾では凹凸の密度が異なっている。

胴体は凹凸に密度がないのに比べて、尻尾は凹凸の密度が高い。

胴体部分が密度が低いため動きやすいなどの仮説が見つかる。

その仮説をもとに何度も何度ものテストをして生まれたものがこのIntentというシリーズになる。

女性は背中、お尻、お腹周りに流水抵抗がある

男性は股の部分、そしてお腹の部分にも抵抗がある。それらを全て加味した上でこのシリーズが生まれている。

(当然、顔まわりもある)

まとめ

・サメ肌(想像以上に凹凸感はあります)

・動かしやすい。(現段階ではXに比べて、他に比べての柔らかさは不明ですが、今までエリート2を着ていた選手もインテントに興味を持っているとのことで、着易さは向上しているかと思われます。)

・LZR Racer Xの強みであった、横方向のホールド感と、縦方向のしなやかな伸びは継承している。

・肩周りのところにも細かな凹凸

・レディースは意外と背閉じが人気(水が入ってこないため)

・ハムストリングのサポートにより後ろ方向のキックを強化

浮き感もある



この後ろのテープが浮き感や後ろキックのサポートをすると思われます。

現段階でわかるのはこれぐらいです。

それでは次に行ってみましょう

FASTSKIN LZR Pure Valorの機能とフォルム(一般的に柔らかい方)

スイマーは着圧を望むが、柔軟性も重要になってきました。

LZR RACER ELITE2やアリーナのCarbon Airの人気もその一端です。

その世界的にも非常に人気の高かったLZR Racer Elite2のエリートの後継モデルがこのValorとなります。

ValorはElite2をベースに作られており、内側にテープが入ることによって外に行かなくなるため、キックがしやすくなる

Elite2を継承しつつも、フラットな仕上げ加工によってフィット感を向上させている。レディース(裾、首、腕周り)メンズ(裾、ウエスト) 着圧の高いシームをももの内側に施すことでスタート、ターン時の筋肉のサポートが施されている。 海外着用選手によるとこのValorにも浮き感もあるという声もある。※未確認

その他のSpeedoの2019注目のシリーズについても見ていきましょう

ゴーグルの新作:Pure Focus

この高速水着と同時に発売をされたのが、同じくPureの名前を冠しているPure FOCUSです。

広いビジョンが特徴的になり、鼻ベルトがスライド式に変更

着けやすさや、各種流水抵抗も改善


その他のシリーズ

Drake(ドレーク):CODURAナイロンを競泳水着に使った初の事例

画像はゴールドウィンのHPより

このDrakeの語源だが、ドレーク海峡というと世界で最も荒れている海域の一つと言われている場所で、そのような過酷な環境の中でも勝ち抜くというような意思が込められている。

このDrake自体は位置的にFS PRO2の位置付けになる。

元々FS PRO2自体がellite2の縫製版というような位置付けだった。

このDrakeには、CORDURAナイロンを世界初水着に搭載

アウトドアブランドの雄であるノースフェイスブランドを手がけるGoldwinだからこそ使われている生地と言えます。

CORDURAとは、

  • 耐久性が高く(破れにくい)
  • 着やすい。(子供にも安心して着せやすい)
  • 柔らかくて伸びやすい

そういった非常にハイパワーながらも使いやすい生地が水着に採用されているわけです。


Atlas(アトラス):着易く伸縮性の良い生地を使った競泳水着

360度全方位に伸びるしなやかな生地

SpeedoというとFLEX Σという柔らかくも着心地が良い生地が多くのユーザーに愛されているが、そのFLEX Σに比べて強い力に対する反発が強く、引っ張るとパッと戻るような感覚がある水着となる。


TurnS(ターンズ):安心感のある生地を使った練習水着

安心感の高い素材をと、生地の厚みを改善したのがこのTurnSのシリーズで、エンデュランスSという生地を採用しています。

厚みがどれぐらい変わったのかというと、

  • 0.55cm・・・エンデュランスJ
  • 0.61cm・・・人気トレーニング水着ブランド
  • 0.63cm・・・エンデュランスS

というように、厚みのある生地で安心感も高く、それに伴って耐久性も上がっています。

何度も何度もターンを行うことから最初の文字であるTと最後の文字であるSを大文字にしている。

◆最後に

2020年に向けて各社が本気の商品を次々と発売していますね。

皆さんが必要な情報をこれからもお届けして参ります。

参考記事

speedo Pureシリーズの評判は?LZR racer シリーズ終了からの変化は?

平成を賑わせた水着・消えた高速水着レーザー・レーサーの変遷

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