【インタビュー】日本の水泳業界を支えるarena 美しく力強いブランドの秘訣


arena開発インタビュー

hdr_logo_pc 日本の水泳業界を支えるarena
美しく力強いブランドの秘訣は。
取材 MIHORO 編集:今村裕司

 

10月30日、ハロウィンの前日

長年スイマーに寄り添い、日本のみならず世界でも圧倒的知名度の高いブランド。私個人の感想として、アリーナブランドは美しくて神秘的なイメージがあります。男性も女性も美しい力強さを感じさせるブランド感は他社に類を見ません。

デザインも非常に優れたブランドの商品が出来あがる過程をこの目で確かめたいと思い、訪れました。

arenainterview002 arena商品開発部のあるデサントオフィス

目白駅前にやってきました。 とっても魅力的な街並みです。

事務所の受付周りも広々としており、お見せできないのですが、受付付近には超有名な契約選手の写真が掲示してあります。

 

今回インタビューをさせて頂くのは、アリーナの企画開発からマーケティングまで担当しているアリーナマーケティング部のチーフデザイナー秋田祐作氏さん(右)と、同じ部署で先頭に立って商品開発をしている森本裕太郎さん(左)です。
意外だった?徹底した現場主義。

―最初に、商品開発や企画の際にアリーナが大事にする事を教えて下さい。―

「色んなスイマーの声を聞く事を大事にしています。自分たちアリーナのチームは水泳大会が開催されると、出来る限り行くようにしています。多分、関東で開催されている大きな大会には行っているんじゃないかな…?そこに行って学生からマスターズスイマーまで、色んなスイマーに話を聞きます。水泳大会では出場者と話をしたりしてスイマーがどのような事に楽しいと感じているのか、普段悩んでいるのか、どんな提案をしたら喜んで貰えるのか。
そして今年2015年は水着試着会の回数も重ねています。みんながどのように感じているのか、どこを改善すればよいのか。率直な意見を聞く機会もあり、とても大事な時間です。 その水着は水泳をしている人にとってどのように感じて貰えるのか、快適だと感じて貰えているか、着た時に喜んで貰えているのか、改良するとすればどこを改良すればよいのか。」

―「凄いですね。そこまでやっているメーカーも中々いないんじゃないでしょうか。」―

「その他にも一般のスポーツクラブに通い、色んな人に話を聞いています。 そしてみんなが水中や地上でどのような動きをしているのか、泳いでいる時に不便を感じていないか。快適に泳げているのか。着ている人をもっと美しく感じられるような水着が出来るのではないか。ほんの些細な窮屈そうな動きで、“もっとこうした方が良いのではないか?”という事を常に考えています。自ら足を運び、直接生の声を聞いて感じた事を元に開発へと活かしています。」

―最初から驚かされたアリーナさんの徹底した現場主義。表面に現れた問題を解決する事は凄く大事だし、それすら凄く難しい。でも他社もアリーナさんが解決したいのは、ただ表面に現れた悩みだけではなく、その先にある、まだスイマー自身も気づいていない表面化されていない悩みにまで至っている視点だと感じさせられます。振り返ってみるとアリーナさんは今までにない価値の水着を多く開発してきました。例えばウロコスキン、アクアフォースインフィニティ、その他にも今年の新作など。そのような事を繰り返して出来た新作商品について教えて下さい。―

先に進み続ける。解決に向き合う真摯な開発姿勢。

(タフーミドルスパッツ)※先行公開『12月より展開』

「長時間トレーニングをする女性に長年愛され続けているタフスーツも、常に変化を模索しています。トレーニング水着の明るいプリントデザインはレッグの高いタイプが主流ですが、マスターズスイマーの女性の方は股回りを露出することに抵抗がある方も多く、そこをなんとか解決出来ないか、露出を気にせずプリントデザインが着られる、そして泳ぎ易い水着という思いで作られたのがこの水着です。」
―話を聞くと、このミドル丈の長さも色々模索したようで、気軽に着られる。プリントデザインがマッチする。だけどスイマーとして泳ぎ易さも同時に感じて欲しいという思いからこの長さにたどり着いたようです。―

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arenagoods4 (タフ-クロスバック)※先行公開『12月より展開』

このタフ-クロスバックは80年代に出来たスーパーフライバックを進化させたものです。バックスタイルのデザイン性をより高くしたいと思い、このクロスしたカッティングを開発しました。こうした方がもっとバックスタイルが美しく感じられるんじゃないか。こうした方がもっと肩周りが動きやすくなんではないか。そういった事をみんなで話し合いながら、タフ-クロスバックが誕生したのです。

―アリーナさんがこだわるひとつに“背中の美しさ”というキーワードがこのインタビュー時に感じさせられました。これからも進化していくのだと同時に感じさせられました。―

 

(UROKO SKIN ウロコスキン)

「女性は水着を着る時に下からはくようにして着るのが一般的です。ですが、どうしてもその肩の部分が伸びなくて着辛い思いをしている方も多いのです。その悩みを解決したかった。その悩みを解決したいと話し合っていた時にこの左右の肩紐を付け根でクロスさせる形状(着やストラップ)が生まれてきました。」

―そのクロスを思い浮かんだだけで終わらないのが流石アリーナ。このクロス形状を完成させるために最初は紙を切ってホッチキスで止めて、はずして、またホッチキスで止めて。どの角度で、どのようなカッティングにしたらスイマーにとって本当に良い物が出来るのかという模索がまた更に始まったのだそうです。その過程によって肩甲骨の部分に水着が当たらず、着脱し易く、泳いでいる時も快適でいられるというこのウロコスキンの背中の形状が誕生している。―

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arenagoods3 (AQUAFORCE INFINITY アクアフォースインフィニティー)

―当時は身体の締め付けによって如何に体積が小さくなるかという事、体幹に注目した高速競泳水着が多い頃でした。そんな中でエナジーリターンという考え方は非常に革新的でした。あの発想はどこから来たのでしょうか?―

「泳動作では、ダウンキックは強く打てるのですが、アップキックは弱くなってしまいがちです。多くのスイマーがそのアップキックを強化するのに苦労しており、大会では距離が長くなると後半で疲れ、足が下がってしまいます。そこを解決する為にもダウンキックのパワーを利用したアップキックの補助、エナジーリターンという発想になりました。その発想は弊社のスキーウェアの考え方を応用しています。私たちはアリーナというチームであると同時に、デサントという多くのスポーツブランドを抱える会社でもあります。他の競技用に開発された技術をフィードバックさせていっています。」

 

―私たち水着販売ショップにとって、新しい魅力のある水着が発売されても、その背景がわからず、本当の魅力に気付かない事があります。でも、その商品の開発の陰にはスイマーの思いや悩みに向き合い、試行錯誤したメーカーさんの努力が確かに存在するのです。―

最高の水着を作る万全の体制

―その水泳用品の開発にかけるアリーナの方々の思いが伝わって来たのはスイマーの声を聞く事だけはありません。それを完成させていく過程、試作という段階にもそのような体制が布かれています。―
―「アリーナで開発する際に気にしている事はなんでしょうか?」―

「そうですね。種類によってまちまちですが、“いかにスイマーの泳力を最大限に引き出せるかという事“、 “着用感が良くストレスなく泳げる事”、“身体のラインを綺麗に見せる事”“、”表情を明るく見せる事“、”プールで映える色“などを気にしています。商品開発は試行錯誤の連続です。同じカッティングでも生地の伸縮性が違えば、同じ型紙は使えません。着心地が違ってしまう事がよくあるのです。その為、同じカッティングでもサンプルを一から作り直します。サンプルを作り、それを実際に試着したり、選手や色んな方に着て貰う事によって、より良いものへと開発を進めていきます。」


―人気のカッティングを“変えない為”に、“変える“という努力を徹底して行っている。―
―「サンプルを何度も作るという事ですか?」―

「アリーナでは国内に自社工場があり、その中でサンプルを作り上げています。 アリーナのパタンナーがあり、自社工場があり、その工場まで行って直接、“こんな事を実現したい”という思いを伝えて、なんとか実現する方法を考える。多くの物は新しい挑戦ですから、実現が困難な事はもちろん沢山あります。ですが、実現に向けて動くことが大事です。目的を実現する為に、機械を改造する事もあります。機械を改造出来る担当が工場内にいます。」

―お客さんに良い水着を届ける。そして水とふれあう機会を届けるという一貫した目標に向けてアリーナという一つのチームの存在を強く感じさせられます。―
―「私個人の感想ですが、アリーナのイメージは神秘的、美しく力強い、そんな印象を感じ続けてきました。 このブランドの思いはどのように統一されているのでしょうか。」―

「ヒストリーブックという、“アリーナとはこういうブランド”という冊子が作ってあります。ブックにはアリーナの歴史、創業時の思い、デザインのイメージ、アリーナが水と触れあう人にどんな価値を届けたいのかという事を共有できるようになっています。ブランドのヒストリーを見る事で、みんなが自然とイメージする物があります。

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アリーナのロゴにもアリーナらしさが表れています。

アリーナのロゴは曲線が多く取り入れられており、ラインの美しさにこだわるという所の確認にもなります。
「これはアリーナとして届けたい。」 「これはアリーナじゃないよね。」がみんなの意識のレベルで認識されている。
もし、その認識が違う事があれば、みんなで話し合って、調整していく。

そんな中、アリーナはワングローバルアリーナという事で本格的に動き始めました。今までの ENHANCE YOUR STYLE というブランドメッセージから、アリーナがグローバル展開で掲げる WATER INSTINCT というメッセージへと変化します。
アリーナはこれからも、世界中のウォータースポーツを愛するすべての人々に、新しい価値を提案する為に進化しています。

ー”水に携わるブランド”
このインタビュー時にこの言葉がアリーナの担当の方から何度も出ました。水という基本を守りながらも、時代や状況に合わせて新しい物を取り入れていくというその姿勢を強く感じさせられます。
アリーナはワングローバルアリーナという新たなフィールドによって、次のステージに向けて動き出しています。 新しい物を取り入れるという事は、歴史の長い会社において本来は難しい事です。
ですが、このお二人の話を聞いていると、新しい何かを柔軟に受け止め、スイマーにとって最高の価値を届けようという思いがある限り、アリーナはアリーナであり続けるのだと、心強さがありました。―

―「凄く面白い内容でした。今日はお忙しい中、誠にありがとうございました。」―

Upload 2015/11/17


イマムー

ひたむきに夢を持って前へ突き進む人を純粋に応援します。 普段は水泳専門店の店長をしています。

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