アスリート・競泳選手 フィットネス・運動目的

長時間の水泳でもクリアな視界・スイムゴーグルのくもり止め革命

最近、水泳に使うゴーグルでくもり止めの技術が進化しています。そこで従来のくもり止めと最近出てきたくもり止めの違いを一度確認してみましょう。

そもそも、くもりというのは微細な水滴が多数付着することで発生します。

レンズの内面では人から気化して出た水分(水蒸気)が、レンズの外側の冷気で冷やされることで液化し、その時にレンズの内側に細かい水玉が出来る事でくもりになります。くもり止めはこの細かい水玉の発生を防ぐことが目的です。

具体的には、スイムゴーグルではレンズ面の内側に水膜を作りやすい構造にすることで、新たに小さな水滴を作らせないようにします。

以上を踏まえた上で、今回は下記の5つで説明していきます。

  1. 従来のスイムゴーグルにあるくもり止め
  2. 塗るくもり止め
  3. SWANS・プレミアムアンチフォグ
  4. VIEW・SWIPE
  5. AQUASPHERE・貼るくもり止め

1.従来のくもり止め

スイムゴーグルを買ったばかりの頃は、くもり止めが施されており、長時間の水泳でも曇り止め効果が出ます。

ただ、このくもり止めは水にぬれた時に柔らかくなりやすいため、濡れた時に触るとヌルヌルとします。その状態時(濡れた時)に触ったり、スポンジやタオルでレンズを拭くとくもり止め効果が著しく劣化してしまい、くもり止めの効果がなくなったり、場合によっては乾いた時にヒビのような傷状態になります。

レンズの内側がヒビのようになったという方は、ヒビではなくくもり止めが悪い形で固まったものと思われます。

つまり

濡れた状態でくもり止めに触ってはいけない。水に通して、レンズ内側に水膜をはるだけ。

これが、くもり止め効果を長持ちさせるためも大事な予備知識でした。この効果の持続期間は使用頻度や扱い方によって期間はまちまちです。

この辺りは下記の記事に書いた事がありますので、こちらをご覧ください。


2.塗るくもり止め(液体)

SWANS 液体くもり止め

スイマーにとって必需品ともいえる、液状タイプのくもり止めです。ゴーグルに初期加工を施されたくもり止めがずっと続けばよいのですが、上記に記載したように濡れると柔らかくなるため何度も使えば劣化し、効果が薄まっていきます。

その為、初期加工されたくもり止めの効果がなくなったら、液体のくもり止めを毎回レンズの内側に塗ることで、くもり止めの効果を作ります。通常のくもり止めと一緒で、レンズ面に水膜を発生して定着させやすくしています。(唾液もこれに似た効果があるとして、臨時で唾液を使うスイマーもいます)

このくもり止めは液体ですから、効果時間はその日ぐらいしか効果が得られないので、毎回泳ぐ前に塗る必要があり、長時間泳ぐスイマーとなると1日に何度も塗り直すこともあります。それでも、これによって水中でも曇らず快適な視界は得られるため、スイマーにとってなくてはならないアイテムです。


SWANS・プレミアムアンチフォグ

SWANSのサイトより引用

簡単に言うと、「くもり止めの初期加工を長持ちさせたもの」

一番最初にお伝えしたくもり止めの効果を長持ちさせるように作られたもので、山本光学(SWANS)の特有技術です。実験によると、くもり止めの効果が従来よりも4倍ほど長持ちするとメーカー公表値が出ています。

くもり止めを塗る必要となる期間を先延ばしに出来ることから、液体状のくもり止めの使用回数を減らせるために人気でした。

従来のくもり止めより長持ちするようになったのは確かですが、濡れた状態ではやはり柔らかくなるため、やはり取扱にはある程度の注意が必要です。

こちらのくもり止めの効果はあくまでも初期加工が長持ちするものとなりますので、効果が薄れてきた場合はやはり液体のくもり止めが必要になります。


VIEW・SWIPE(スワイプ)

「むしろ触りましょう。」というコンセプト

SWANSのプレミアムアンチフォグを進化とするなら、このくもり止め加工は革命でした。

今まで何度もくもり止めに触ってはいけないとお伝えしましたが、このゴーグルのくもり止めに関しては「触ってください」というコンセプト

一言でいうと、「凄く硬いくもり止め加工」

従来のくもり止め加工よりもずっと硬く作れているため、ゴーグルの内側を触っても良いようになりました。このくもり止め効果がある状態で、くもり止め効果を阻害するものは、ゴーグルの内側についた汚れや油分です。この油分や汚れを指で拭き取りましょうという意図で、こすって復活とうたわれています。

このSWIPEのくもり止め効果が永久的に継続するわけではありませんが、非常に長持ちするくもり止め効果とも言え、長時間泳ぐスイマーにとって非常に心強いくもり止めでした。


AQUASPHERE・貼るくもり止め

耐久性の高いくもり止め加工を貼る

これは発想の勝利ともいえ、SWIPEとも違った方向からの革命ともいえるくもり止めです。

ここまでのゴーグルは、ゴーグル自体にくもり止め加工が施されており、そのくもり止めの効果が薄れてくると液体状の塗るくもり止めに頼るのが本来でした。

塗るくもり止めは必需品と言えるぐらいに非常に便利な反面で、元が液体の為に耐用時間が短かったのです。長時間泳ぐ人となると、一日に何度も塗り直す方も多いと聞きます。

そこで、耐久時間の長いくもり止め加工したシールをゴーグルの内側に貼ろうというもの。

今までこの発想は競泳ゴーグルでありませんでしたが、シュノーケリングの世界ではあった考え方だそうです。

シュノーケリングの世界で有名なアクアラングを母体とするAQUASHPEREだからこそ出来た商品と言えるかもしれません。

AQUASPHEREの競泳向けブランドPhelps(MP)で発売しているXCEEDゴーグル向けに作られていますが、XCEED自体が大きめのレンズである事から、自分のゴーグルの形に切って使う事も出来ます。

レンズ面に透明のシートが張られることや、つけ外しが少し難しいとのお声はありますが、発売から数日の状態では好評なお声が多いように思います。

発売間もない為、使用感についてはまだこれから多くの方の感想待ちの状態ですが、こういったちょっとした工夫で視界を改善してくれるアイテムは面白いですよね。


さて、以上が水泳中に視界を改善してくれるくもり止めの主なものです。

水泳用のくもり止めは最初に書いたようにゴーグルの内部に水膜を張ること細かな水滴を発生させないことで実現しています。その為、メガネや洗面台の鏡のようにそもそも水膜を付けない場所とはそもそもくもり止めの考え方が違います。

メガネや洗面台の防滴(くもり止め)は、(多分)撥水によってそもそも水がつかないように作られています。

ゴーグルの中は撥水型のくもり止めにすると、水が溜まってしまうと考えられますので、水膜を作るのが一般的なのでしょうね。

その点をご留意していただき、快適な水泳をお楽しみください。

-アスリート・競泳選手, フィットネス・運動目的
-